HOME > ライブラリー > コラム2:方法論を語る > シックスシグマ物語 ―シリーズ14. 各種シックスシグマ手法の活用―

コラム2:方法論を語る

シックスシグマ物語 ―シリーズ14. 各種シックスシグマ手法の活用―
株式会社ジェネラル・サービシーズ 理事 佐藤 増雄

 前回はDMAIC以外の、その他のシックスシグマの改善・改革手法について、課題に対応した手法の選び方のポイント等の要点を紹介した。

 今回は、その他のシックスシグマの改善・改革手法について、展開フローの要点や特徴の説明と、シックスシグマ・アプローチの総括を行う。


13.2 各種手法の活用の考え方

 DMAICは継続的なプロセス改善による既存プロセスのバラツキの削減に焦点を当てて、改善を進めることは既に述べた。
 一方、プロセスの大幅な再設計や新商品・サービスのための新規プロセス/再設計を行うものとしてプロセス開発(DFSS: Design For Six Sigma)が有り、これはDMAICに倣ってDMEDI(Define, Measure, Explore, Develop, Implement)等と呼ばれる。また既存プロセスのムダの排除に焦点を当てる手法としてリーンシグマのDEDIC(Define, Explore, Develop, Implement, Control)が有る。
 以下、これら手法の展開フローの要点と特徴を説明する。

(1) プロセス開発:DMEDI
 プロセス開発はD(定義)M(測定)E(探索)D(開発)I(実施)のステップに従って実施される。D段階ではプロジェクト・チャーター(プロジェクト計画書)を作成するが、ここではさらに、プロジェクトの中長期的な展開プラン(MGP: Multi Generation Plan)を設定する。M段階では顧客要求を測定し、品質機能展開図(QFD)で顧客の声を事業要件まで落とし込み、スコアカードでターゲットとすべき指標とのギャップを明確にする。次のE段階ではプロセス要求機能を確定させ、代替プロセスを考案し、ギャップ分析と反復調整を繰り返してスコアカードを確定させ、概念設計を完了する。さらにD段階では、QFDをさらに展開し、詳細なプロセス要件を抽出して詳細設計を行い、FMEAで新たなプロセス等にリスクがないか評価し、スコアカードを更新し、詳細設計を完了する。最後のI段階では新しいプロセスでのパイロット試験を行い、試験の結果から、パフォーマンスをスコアカードにより評価する。必要なら再設計し、手順書などを作成・改訂し実規模試験の実施に移行して、プロジェクトを完了する(図13―3)。

colum0018_img01.jpg

(2) リーンシグマ
 リーンシグマはD(定義)E(探索)D(策定)I(実施)C(管理)のステップに従って実施される。これは過去の業務改善から得られた実践的教訓を基盤とする改善手法を統合活用するもので、クイックに改善を進めるものである。バリューストリーム・マップ(VSM: Value Stream Map)というプロセスの可視化によるプロセスの改善や、ジャスト・イン・タイム(JIT)、自働化、平準化、ムダの排除などの手法を活用し、改善を進めることになる。
 具体的には、フローを整流化し、マーケットインの仕組みを構築し、顧客や供給者を含めたバリューチェインを最適化し、部門横断でプロセスを中心とした最適な組織構築を進めるものである(図13―4)。

colum0018_img02.jpg


14. シックスシグマ・アプローチの総括

 シックスシグマのプロジェクトをDMAICまたはその他の手順に従って実施するに当たっては、定義または機会の特定段階での問題の整理が重要である。これには、プロジェクト準備から始まってプロジェクト・チャーター(プロジェクト計画書)の作成までに一連の作業がある。
 プロジェクトを進めるに際しては、改善対象がどの程度明確になっているかで、アプローチポイントが変わってくる。改善対象が十分特定できていない場合はSTEP1から実施することが重要となり、改善対象が明確である場合はSTEP2から入ることができる。またプロジェクト候補が明確になっている場合はSTEP5からスタートすることが可能となる。このように、問題解決のためには最適なアプローチをとることが必要である。(図14―1)

colum0018_img03.jpg


 今回は、DMAIC以外の、その他のシックスシグマの改善・改革手法について、展開フローの要点や特徴を説明するとともに、シックス・シグマアプローチの考え方やプロジェクトのまわし方等を総括した。

 今回で、このコラムは最後になるが、その間、相変わらず金融危機の影響は改善されておらず、識者によっては、今回の状況は循環型のものでなく構造的なものであるとの指摘もある。お客様がますます商品、サービスの選別化を進めている中で、付加価値創出を武器に顧客のニーズの変化に迅速に対応しながら、改善・改革を進めていくことが期待される。
 顧客満足度向上、顧客感動の実現こそが、ビジネスの成功に直結する。シックスシグマ・アプローチにより、効率的、効果的に製品・サービスの個々のパフォーマンスを向上させると同時に、顧客の立場でサービス全体を改善することが可能となり、企業の競争力を高め、他社との差別化が可能になる。

 若干、難解な部分も有ったかと思うが、根気よく継続して読んでいただき、また咀嚼して日常業務に活用・展開された方もいることと思う。読者諸賢には進化し続けるシックスシグマ・アプローチを活用し、さらなる業務の改善・改革と、継続的な顧客満足、感動を追求されることを祈念し、筆を措くこととする。

<参考資料>

1.「シックスシグマ・ウエイ」ピーター・S・パンディ他 著 日本経済新聞社
2.「Customer Centered Six Sigma」Earl Neumann他 著 ASQ Quality Press
3.「シックスシグマ・ブレイクスルー戦略」 マイケル・ハリー他 著 ダイヤモンド社
4.「SIX SIGMA FOR MANAGERS」Greg Brue著 McGraw-Hill
5.「シックスシグマ活用で進化する コールセンターの新・品質管理技術」
 佐藤増雄著 Computer TELEPHONY 2009.9

株式会社ジェネラル・サービシーズ 理事
佐藤 増雄

早稲田大学理工学部卒。マスターブラックベルト。大手電機メーカにて大規模プラントシステム開発、情報システムマネジメント、全社技術企画・オペレーションマネジメント、シックスシグマ経営変革業務を推進。多数の学会論文発表・学会賞受賞と専門委員、評価委員、国際会議チェアマンを歴任。その後、PwCコンサルティング(株)、IBMビジネスコンサルティングサービス(株)で戦略およびシックスシグマコンサルティングを多数の国内・外の大手企業に実施。 2006年に(株)ジェネラル・サービシーズに入社し、大手企業のクロスボーダー・アウトソーシング、コンサルティングを実施、現在に至る。

ご意見・ご感想

このページのトップへ